熱中症の症状で「ろれつが回らない」という症状は、重症化のサインであり、見逃すと命に関わる可能性があります。
この記事では、熱中症によるろれつ障害の見分け方や脳梗塞との違い、応急処置の手順、救急車を呼ぶタイミングまで、実際の対処法をわかりやすく解説します。
熱中症でろれつが回らない?その症状の見極め方と危険サイン
熱中症が進行すると、体温調整機能が乱れ、意識障害や言語障害が現れることがあります。
ろれつが回らない、話しかけても反応が鈍い、ふらつくといった症状は、熱中症の中でも中等度〜重度のサインです。
特に、高温下での作業中や屋外で長時間過ごした後にこうした症状が出た場合は注意が必要です。
ろれつの乱れは熱中症か脳梗塞か?症状の違いをチェック
「ろれつが回らない」という症状は、熱中症だけでなく脳梗塞の初期症状でもあります。
熱中症の場合は発汗や皮膚の乾燥、倦怠感などが伴いますが、脳梗塞は顔の片側のしびれ、手足の麻痺、片目の見えにくさなども特徴です。
特に高齢者では判断が難しく、見誤ると命に関わるため、早期の鑑別が必要です。
FAST(ファスト)で脳梗塞も見逃さない方法
脳梗塞の見分け方として有名な「FAST」は、Face(顔のゆがみ)、Arm(腕の上がりにくさ)、Speech(ろれつ・言葉の異常)、Time(発症時刻の確認)を意味します。
これらの項目を素早くチェックすることで、熱中症と脳卒中の見極めが可能になります。
どちらかわからない場合は、救急要請が原則です。
応急処置の第一歩—涼しい場所への移動と身体の冷却
熱中症の疑いがある場合、最優先は体温を下げることです。
まず風通しの良い日陰やエアコンの効いた室内に移動し、安静にします。
冷却は時間との勝負となります。
迅速に対応すれば重症化を防ぐことが可能です。
本人が動けない場合は、周囲の人が助けることが重要です。
衣服をゆるめて首・脇・鼠径部を冷やす「3点クーリング」
身体を効率的に冷やすには、太い血管が通る「首・わきの下・足の付け根(鼠径部)」に冷却を集中させるのが効果的です。
保冷剤や冷やしたペットボトル、濡れタオルを使ってこれらの部位を重点的に冷やしましょう。
衣服は緩め、熱のこもりを防ぎます。これにより深部体温を効率的に下げることができます。
水道水散布・濡れタオル・扇風機併用で効果的に体温を下げる
冷却手段としては、水道水を直接かけたり、濡れたタオルを全身にかぶせる方法も有効です。
さらに扇風機やうちわを併用して気化熱を促進すると、より効率よく体温が下がります。
屋外でも簡単にできるので、現場での応急処置として非常に効果的です。
水分と塩分を適切に補給しよう
脱水症状は熱中症の大きな原因です。
水分だけでなく、汗と一緒に失われるナトリウムなどの電解質も同時に補うことが大切です。
症状が軽度で意識がはっきりしている場合は、すぐに水分・塩分を補給しましょう。
放置すると意識障害やけいれんを引き起こす可能性があります。
スポーツドリンクや経口補水液で失われた電解質を補う
熱中症では大量の汗により水分とともに塩分(ナトリウム)が失われるため、ただの水では逆効果になる場合があります。
スポーツドリンクや経口補水液(OS-1など)は、水分と電解質を効率よく補えるため、非常に有効です。
冷やして飲ませると同時に、休息も取らせましょう。
意識障害・誤嚥リスクがある場合の対応と注意点
本人の意識が朦朧としている場合、水分を無理に飲ませるのは危険です。
誤嚥による窒息や肺炎のリスクがあるからです。
うまく飲み込めない、反応が鈍いと感じたら、すぐに補給を中止し、救急車を呼びましょう。
応急処置では「飲ませるか・飲ませないか」の判断が非常に重要です。
重症時の対応と救急車を呼ぶ判断基準
ろれつが回らない、意識が混濁している、痙攣が起きているといった重症のサインが見られたら、すぐに119番通報が必要です。
救急車が到着するまでの間にも適切な冷却と見守りが求められます。
ためらわずに専門機関を頼ることが、命を守る鍵となります。
「意識もうろう」「けいれん」「ろれつがおかしい」で即119番
これらの症状は、すでに脳や神経系にダメージが及んでいる可能性があります。
特に呼びかけに反応がない、うまく言葉が出ない、体が硬直しているといった状態は一刻を争う緊急事態です。
自己判断を避け、早急に救急車を呼ぶことが必要です。
救急到着までの冷却・安静・付き添いのポイント
救急隊が来るまでの間は、できる限りの冷却処置を続けましょう。
意識がある場合は声かけをしながら横向きに寝かせ、嘔吐などの誤嚥を防ぎます。
付き添う人は症状の経過や、発症時間、処置内容を正確に伝えることも重要です。
これが医療機関での迅速な処置に繋がります。
まとめ:熱中症でろれつが回らない状況になったら?
ろれつが回らないなどの異常が見られた場合、熱中症の中でもすでに重症化している可能性があります。
速やかな冷却と水分・塩分の補給、意識状態の観察が重要です。
少しでも「おかしい」と感じたら、迷わず救急車を呼ぶ判断をしましょう。
自分や周囲の命を守るために、正しい知識と行動を身につけておくことが重要です。
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